こんにちは!2021年はあなたにとって、どんな1年でしたか?コロナ禍ではありましたが、東京オリンピックが開催されたり、アメリカンリーグで大谷選手が日本人初のMVPに選ばれたりと明るい話題もありました。
完全には緊張の解けない日々が続きますが、新型コロナウイルスの影響も減少傾向にあるので、前向きに過ごしていきたいですね。
ジュエリーにまつわる日本で1番大きなトピックスは、宝石の『誕生石の種類』が63年ぶりに見直されたことです。
ニュースでも比較的に大きく扱われていたので、既にご存知かもしれませんね。しかし、「ただでさえ色々な種類があったのに増えたら分からなくなるよ!」とか「それで、どれが正式な誕生石なの?」などと混乱される方もいらっしゃるかと思います。
そこで、新旧の誕生石についての考え方と、新たに認定された10種類の宝石について、簡単にご紹介させて頂きます。
正式な誕生石はどの石?誕生石についての考え方
まず、『正式』な誕生石はどの宝石か?についてですが、誕生石には正式な宝石というものはありません。逆に言うと全てが正式な誕生石とも言えます。それは、誕生石にまつわる物語が生まれた場所が様々だからです。
宝石は世界の多くの国で産出され、ある時は司祭の道具、またある時は権力の象徴など、それぞれの国で様々な用途に重用されてきました。もちろん誕生石という概念も、それぞれの国の文化の中で形成されています。
戦後の日本はご存知の通り、USAの影響を多分に受けながら復興してきました。そのため文化的な面でもUSAの潮流を組むかたちになり、誕生石についての概念もUSA式のものを取り入れることになったのです。
これがつい先日までの『現代日本の正式な誕生石』でした。しかし、これは『日本』の正式な誕生石なだけであって、世界各地では、また別の誕生石の物語が伝わっています。
インターネットが発達した現代では、様々な地域の文化情報が他国でも入手できるようになり、より広い視点で物事を考えられる様になりました。その流れを汲み、世界各地の誕生石の概念を反映させようとしたことが、新たな誕生石が認定された理由と言えます。
そのため『正式な誕生石』については下記の様にお考えになってみてはいかがでしょうか?
- 誕生石が増えたわけではなく、視点が広がったため、知らなかった文化の誕生石を知ることとなった。
- それぞれの誕生石は、色々な地域の歴史の中で生まれている宝石なので、『正式な宝石』という概念は無い。
2021年に新たに追加された誕生石
今回10種類が新たに加わり、日本で正式に採用されている誕生石は合計29石になりました。とは言え、その中には既に誕生石として良く知られている宝石も多数あります。それでは、それぞれの宝石についてご紹介させて頂きます。
2月の誕生石
クリソベリルキャッツアイ
宝石の国スリランカやブラジルで産出される高価な宝石です。「ハニー」と呼ばれる色味の濃い黄茶色の中心に、猫の目の様な光彩がはっきり表れる石が最高の品質とされています。アジア圏では古くから悪魔から身を守る石として愛されてきました。
3月の誕生石
ブラッドストーンとアイオライト
ブラッドストーンは、既に3月の誕生石として一般的に定着している宝石です。また、アイオライトは9月の誕生石としても愛されてきました。
4月の誕生石
モルガナイト
モルガナイトは鉱物名で『ベリル』という種類の淡いピンク色の石で、同じくベリル種のエメラルドやアクアマリンの親戚にあたります。紛らわしい宝石名にモルダバイトがありますが、全く別の宝石ですので、間違えないようご注意ください。
6月の誕生石
アレキサンドライト
アレキサンドライトは6月の誕生石として既に広く知られていましたが、日本では正式には誕生石として認定されていませんでした。おそらく、発見されたのが1830年と、宝石としては近年のため、歴史が短いことが原因でしょう。
7月の誕生石
スフェーン
スフェーンは深めの草色透明石で、眺める角度によって色の濃度が異なって見えるミステリアスな宝石です。別名をチタン石 (チタナイト) と言い、チタンを多く含む鉱物です。主にブラジルやマダガスカル島で産出されています。
8月の誕生石
スピネル
スピネルはスリランカ・ミャンマー・ナイジェリアで産出される宝石で、レッドやブルー、その中間色のピンクやヴァイオレットなど、ルビーやサファイヤに近い発色の宝石です。そのため、長い間これらの宝石と混同されていた歴史を持ちます。
9月の誕生石
クンツァイト
クンツァイトはブラジルやマダガスカル島、パキスタンなどで産出される淡いピンク色の宝石です。可憐で美しいのですが、自然光で色味が薄くなることがあるので、取り扱いには注意が必要です (当店でもクンツァイトのお持ち込み加工は承っておりません)。
12月の誕生石
タンザナイトとジルコン
タンザナイトは12月の誕生石として既に広く認知されている、ブルーからヴァイオレットにかけての色味がとても美しい宝石です。ジルコンは人工石のキュービックジルコニアのことではなく、天然ジルコン (自然界で産出されるジルコン) を指しています。
まとめ
誕生石についての考え方や、新たに加わった10種類の誕生石についてご紹介させて頂きました。種類が増えたことで、月によってはかなり選択の幅も多くなりましたね。『この石が一番正式』という概念は無いので、お好みでお選びください。
誕生石が増えたことで少し紛らわしく思われるかもしれませんが、逆に言うと、今まで知らなかった宝石と出会い、新たな宝石を良く知るチャンスとも言えます。しかし、新たに加わった宝石の中には、なかなか街中では見ることのできない宝石もあります。
そんな時には多くの宝石が集まるミネラルショーなどの宝石展に行ってみるのもオススメですよ!
2021年も当店をご愛顧下さりありがとうございました。2022年も、大切に使い続けたくなるジュエリーのお作りや、アクセサリーお修理など、あなたのお力になれるよう努力させて頂きます。それでは、良いお年を!