前回の記事では、チェーンデザインの種類や耐久性、お修理方法など、『チェーン本体 (コマ)』についてご紹介させて頂きましたので、今回は『留め具 (クラスプ)』について、種類と特徴、お修理についてご紹介させて頂きます。
チェーン本体についての記事は「どんなデザインが切れにくい?ネックレスチェーンの種類と耐久性」をご覧ください。
なかなか、チェーン本体と金具を別々に選ぶ機会は少ないとは思いますが、オーダーメイド等で選ぶことのできる機会があったり、ネックレスを修理に出される時、好みに合った金具が見つかったらショップに相談してみて下さいね。
ネックレスチェーンに使われる代表的な留め具の種類と特徴
それでは早速、留め具の種類と名称をご紹介していきます。合わせて留め具の特徴、相性の良いアイテムについてもご案内致します。
1. 引き輪式 (ヒキワ式) クラスプ
細めから中太くらいのネックレスによく使われている、最もオーソドックスな留め具です。薄い金属の板の中にバネが入っており、専用の機械で丸めて作られています。専門的には引っ掛ける側をヒキワ、受側を板ダルマといいます。
直径5mm~9mm位まで、既製品のサイズ展開があります。最近ではヒキワのつまみを引っ掛かりやすく改良した製品も販売されていますので、使いにくいと感じられる方は摘みやすいものに交換するのも良いかもしれません。
2. フック式クラスプ
機構的にはヒキワとよく似ている留め具で、中に入っているバネによって可動する設計になっています。ヒキワに比べ金属が厚いので、金具が曲がりにくくなっています。そのため、中太から太めのネックレスに適しています。
金やプラチナ製のネックレスの場合、フック式クラスプは重量がある分、割高になってしまうため、あまり見かけないかもしれません。対して、貴金属としては比較的に安価な銀製品やメッキアクセサリー製品ではフック式クラスプがよく使われています。
3. 差込式クラスプ
針もしくはベロ状になっている側を受け側に差し込んで留めるタイプの留め具です。差込側の溝が受側内部でかみ合って留まる仕組みになっています。受側にあるボタンや、受側本体を操作することによって外せる様になっています。
本体と一体式になっていることが多い金具で、真珠ネックレスや幅太のネックレスによく見られます。ベロ式の場合は経年によってベロが潰れて金具が外れやすくなります。一度ベロが潰れてしまうと、修理を行っても早い段階で再度潰れるようになってしまいます。
4. 中折れ式クラスプ
引っ掛け側の金具を受け側にくぐらせて、折り返して留める仕様の金具です。折り返して留める際に、テンションでパチンと留まる様になっており、金具自体が肉厚で丈夫なため、重量のあるキヘイデザインのネックレスに良く見られます。
受け側のバーが折れてしまった場合はお修理可能ですが、引っ掛け側に不具合が起きてしまった際は、交換が必要になる事が多いです。チェーンに直接溶接されている金具のため、金具を交換する際、再溶接が必要になり、お修理費用は割高です。
5. 磁石式クラスプ
留め具の両側に磁石が接着されていて、金具同士を近づけることで留めるタイプのクラスプです。他のクラスプと違い、おおよその位置を合わせるだけでくっついてくれるので、ネックレスを着ける動作がとても楽です。
その反面、磁力だけで付いているため、大きめの珠の真珠ネックレスや重さのあるペンダントのついたネックレスに磁石式クラスプを採用してしまうと、留め具が外れてネックレスを落としてしまうことがありますのでご注意下さい。
6. マンテル式 (Tバー式) クラスプ
T字型の留め具を輪状の受け留め具にくぐらせて留めるタイプのクラスプです。構造が単純で可動部分が無いので、金具が壊れる心配が少ないという利点があります。本体が軽いと金具が浮いて外れてしまうため、ある程度重量のあるネックレスに適しています。
シンプルで原始的な構造のため、民族工芸品や大粒の天然石が連なっているネックレスによく使われています。機構上、ネックレス全体に対して留め具箇所が目立ちますので、好みが分かれやすい留め具かもしれません。
7. ネジ式クラスプ
ネジの切ってある突起側を受け側に差し込んで回して留めるタイプのクラスプです。留め具を回転させてもチェーン本体の捻じれに影響の無い象牙やサンゴ、琥珀、ジェットなどの玉が連なったネックレスでよく使われています。
きちんとかみ合った状態でネジを締めると、しっかりと留まるクラスプなのですが、受け側に対して斜めに差し込んだ状態で回してしまうとネジ山が潰れて金具が壊れてしまったり、ネックレスが外れなくなったりしてしまうため、少しコツが必要な留め具です。
留め具は壊れてしまうと基本的には修理ができない
ネックレスの留め具が壊れてしまう多くのケースは、経年による中材バネの劣化や金属の変形・摩耗などが原因のため、現品を修理しても比較的に早い段階で修理前と同じ現象が起こってしまう場合が多いです。
そのため、留め具が壊れてしまった場合、基本的にはチェーンに新しい留め具を付け替える交換修理になります。
留め具を再使用できないことは残念ですが、ネックレス自体が使えなくなってしまうわけではないので、これからも大切なネックレスを長く使っていくために必要なメンテナンスの時期とお考え頂くのが良いと思います。
まとめ
ネックレスの『留め具』部分について意識されることは少ないと思いますが、実は上記のように様々な種類の留め具が存在します。
多くのケースでは、ネックレスの購入時にはお品物に合った留め具が取り付けられていますが、『なんとなくこのネックレス使いにくいな。』と思われる時には、お近くのジュエリーショップに相談してみるのも良いかもしれません。
また、ハンドメイドアクセサリーを作られる際のご参考にして頂けましたら幸いです。ジュエリー優でも、当店他店の品物を問わず、購入された製品の留め具が使いにくい場合や、留め具が壊れてしまった際のご相談承りますので、お気軽にご連絡下さい。
あなたが大切なネックレスを長く使っていく上で、この記事がお役に立てていたら嬉しいです。