ピンクダイヤモンドを産出していた、オーストラリアにある世界最大のアーガイル鉱山が2020年に閉山したことで、カラーダイヤモンドが大きな注目を集めています。時々テレビでも特集が組まれていたりもしますね。
この先、希少な天然色のカラーダイヤモンドは手に入りにくくなることが予想され、値段も上昇していくことと思われます。かと言って、カラーダイヤモンド全ての価値が高まっていくわけではありません。
色によっては無色のダイヤモンドより低価格で手に入りやすいものもありますので、今回は『どの様な色のダイヤモンドが高価で、どういったカラーダイヤが手に入りやすいのか?』についてご紹介させて頂たいと思います。
透明なダイヤモンドとカラーダイヤモンドの値段評価の違い
ダイヤモンドは一般的にはカラット (重量)・カラー・クラリティ (傷の目立ち具合)・カットの『4C』という基準で評価されます。
参考: カラットだけじゃない!婚約指輪のダイヤモンド料金の決まり方と相場
このうちカラーについては、透明なダイヤモンドは色が薄いほど価値が高まります。それに対し、カラーダイヤモンドは色が濃いほど評価が高まるといった相反する評価基準になっています。それでは、具体的に見てみましょう。
透明なダイヤモンドの評価方法
ダイヤモンドの透明度はダイヤモンドの『Dカラー』を無色透明とし、アルファベット順に色が濃くなります。DカラーからHカラーがホワイトカラーと呼ばれ、一般的に徐々に黄色味や茶色味が強くなります (アンダーNやアンダーSとグレーディングされます)。
この時、透明なダイヤモンドとしての評価はDカラーが最も高く、Zカラーに近づくほど価格が下がっていきます。
カラーダイヤモンドの評価方法
Zカラーまでが透明なダイヤモンドを評価する基準となり、Zカラーを超えて色味が濃くなってくると『ファンシーカラー』というカラーダイヤモンドを評価する基準になります。ファンシーカラーは多くの場合で色が濃いほど評価は高まります。
カラーダイヤモンドの分類と『濃い』とされる色の状態
ファンシーカラーダイヤモンドは彩度と明度の高低によって以下の様に分類されています。
- 彩度 (淡い→鮮やか)
- ファンシーライト → ファンシー → ファンシーインテンス → ファンシービビッド
- 明度 (明るい→暗い)
- ファンシーライト → ファンシー → ファンシーダーク or ファンシーディープ (彩度の高いダークカラー)
明度が低すぎても色は綺麗に表れないため、カラーダイヤモンドの評価では高彩度・中明度の状態が色が濃く美しい (ファンシーインテンスやファンシービビッド) とされており、希少な天然ダイヤモンドの場合、これらのカラーは高額になります。
その他の4C上の評価の違い
ファンシーカラーダイヤモンドには4Cで評価される『カット』の項目がありません。
これは透明ダイヤモンドのカット基準が光をより照り返すカッティングに対して、カラーダイヤモンドのカットは色味をより綺麗に魅せるカッティングと、目的の違いにあるものと思われます。
また、透明ダイヤモンドでは『クラリティ― (傷の目立ち具合)』が価値を大きく左右しますが、カラーダイヤモンドは透明ダイヤモンドほどクラリティ―が重視されません。希少なカラーである程、傷よりも色の美しさが重要になるということですね。
カラーダイヤモンドの主な色の種類と値段
冒頭で「全てのカラーダイヤモンドが透明なダイヤモンドより価値が高い訳ではない」とお話させて頂きましたが、どの様な色のダイヤモンドが価値が高いのでしょうか?透明ダイヤモンドを基準に、手に入りやすいカラーから順にご紹介していきます。
ブラックダイヤモンド
不透明な黒石のダイヤモンドです。メンズジュエリーや連ネックレスとして人気があります。天然色で市場に出回っているものは非常に少なく、多くのブラックダイヤモンドはオイルを塗り、焼いて人為的に作られます。
ブラウンダイヤモンド
透明なブラウンカラーのダイヤモンドで、オレンジ系の色味が人気があります。ファンシーライトカラーの美しいものは『シャンパン』、ファンシーカラーは『コニャック』と表現されます。比較的、産出量が多いカラーダイヤモンドです。
イエローダイヤモンド
ダイヤモンドは生まれる際に窒素を取り込むことで黄色味を帯びます。
窒素は大気中に多く含まれる成分のため、Iカラーからファンシーライト位までのイエローカラーは産出量が多く、透明ダイヤモンドより評価は下がりますが、ファンシーインテンスやファンシービビッドのイエローは透明ダイヤモンドをしのぐ評価になります。
透明ダイヤモンド
『4C』によって評価される最も一般的なジュエリー用のダイヤモンドです。
青みがかった無色透明が最も良い色味 (Dカラー) とされ、黄色味や茶色味が増すほど評価は下がります。近年、価格を重視するジュエリーでは『オフホワイト』と呼ばれるIカラーからKカラー位の色味のダイヤモンドがよく使われます。
ピンクダイヤモンド
元々、希少性の高い高価なカラーでしたが、アーガイル鉱山の閉山により今後さらに価格が上昇すると思われます。
紫色がかったファンシーパープリッシュピンクやファンシーインテンスピンク、ファンシービビッドピンクは人気があり、特に高額です。彩度が最も高い状態の『ファンシーレッド』は数億円単位の価格で取引されています。
ブルーダイヤモンド
最も希少価値の高いカラーで、天然色のブルーダイヤモンドを目にする機会はめったに無いと思われます。中でも爽やかな空色の『スカイブルー』と呼ばれる色味が最も良いとされています。私もスカイブルーカラーのダイヤモンドは見たことがありません。
人工的に色の改変を行ったダイヤモンドは評価が低い
上記の様に、天然色のピンクやブルーのダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中のカラーダイヤモンドと呼ばれ、非常に高い価値があります。しかし、人為的にピンクやブルーへの色の改変を行ったダイヤモンドは上記の通りではありません。
とは言っても、ジュエリーを嗜む上で、希少な宝石を身に着けることが最良なわけではないので、お好みでトリートダイヤモンド (人工的に着色されたダイヤモンド) を取り入れるのも良いのではないでしょうか?
ただ、購入される際には、色の起源を知っておくことは重要ですので、お目当てのアイテムがナチュラル (天然色) とトリート、どちらなのかはショップに確認してから購入するようにした方が良いでしょう。
まとめ
カラーダイヤモンドについて、鑑定書をベースとした評価を、ざっくりとご紹介させて頂きました。
しかし、カラーダイヤモンドの購入に至る場面では、鑑定書だけではなく、実物の見た目も透明ダイヤモンド以上に重要です。そのため『自分に合った美しい石』を購入するためにも、できるだけ多くのカラーダイヤを見てから選びましょう。
カラーダイヤモンドを実際に見ることができるショップは少ないですが、百貨店やハイブランドショップでは取り扱っているところもありますので、積極的に問い合わせて、見学に行ってみてはいかがでしょうか?きっと見ているだけでもワクワクできますよ!