プラチナや金といった貴金属の素材価格が年々上昇していることもあり、以前に比べ、装飾品には銅や鉛などを本体に使用し、ニッケル等のメッキで表面を仕上げたメッキアクセサリー製品が多くなりました。
当店にも他店で購入されたメッキアクセサリー素材のお品物の「色剥げを改善したい」「指輪のサイズを直したい」というご相談を多く頂くのですが、多くの場合、メッキアクセサリー製品のお修理は行うことができません。
しかし、メッキアクセサリー製品は価格面だけではなく、金やプラチナ素材の品物には無い、大胆なデザインのものもあったりするので、できれば、ジュエリーとアクセサリーのどちらかではなく、両方と上手に付き合っていきたいですよね。
ということで、今回はメッキアクセサリー製品のお手入れ方法と、壊れてしまった時の考え方についてご紹介させて頂きます。
メッキアクセサリー製品ってどういうもの?
メッキアクセサリーは、貴金属 (プラチナ・金・銀) 以外の金属 (卑金属と言います) にメッキコーティングした商品を指します。
主なメッキアクセサリー製品の例
- 服飾ブランドアイテム
- 服飾ブランドのメイン商品は服やバッグですので、アクセサリー類はサブアイテムという立ち位置になります。また、流行の移り変わりが早く、在庫負担を軽減するためにメッキアクセサリーとして作られることが多いです。
- 大振りなデザイナーアイテム
- 大振りなデザインアイテムに貴金属を使用すると、高価になってしまうため、お客様に身に着けてもらうことができません。そのため、デザイナーズブランドにもメッキアクセサリー商品がよく見受けられます。
- 価格重視のアイテム
- ファストファッション店やネットショップといった価格重視の商品は、安価で商品を提供できるよう、金属部分はメッキアクセサリーで作られていることが多いです。ほとんどの場合、商品説明にはメッキ製であることが明示されています。
メッキアクセサリー製品のお手入れ方法
メッキアクセサリー製品は本体が銅や鉛などのため、ご使用と共にメッキが剥げて、茶色やグレーの地の色が見えてきてしまいます。その際、研磨剤が入っている磨き布を使用すると状態を悪化させてしまうのでご注意ください。
ストーンやパールが付いているお品物の場合、ストーンは色ガラスに銀紙を貼った人造石、パールはプラスティックに塗装を施した人工真珠を接着しているケースが非常に多いので、汚れが目立っても水やお湯には浸けないで下さい。
お手入れは着用された後に、研磨剤の入っていない柔らかな布で汚れを軽く拭き取る方法になります。メッキアクセサリー製品は基本的に、現状からの改善が難しいため、傷んできてしまった場合は買い替えが必要になります。
メッキアクセサリー製品はどうして修理できないのか?
理由1
溶接で溶けてしまう
「ピアスポストが折れてしまった」「指輪のサイズを直したい」といった場合、メッキアクセサリー製品は溶解温度が低いため、溶接を試みようとすると溶けてしまいます。また、溶けてしまった場合、元の形に戻すことができません。
理由2
下磨きで不具合が起こる
メッキが剥げてしまった際、貴金属の場合は磨き直してから再メッキを施します。しかし、メッキアクセサリー製品の場合は磨き直しの際の摩擦熱で面が割れてしまったり、溶けてしまうことがあります。
理由3
メッキが綺麗に付かない
メッキアクセサリー製品はスズメッキや銅メッキなどを下地に施すことで、仕上がりの際の光沢や滑らかさを調整しています。しかし、再メッキの際は、これらの下地メッキの成分が影響して、一部にメッキが付かないことがあります。
詳しくは下記の記事でもご紹介させて頂いておりますので、よろしければご覧ください。
メッキアクセサリー製品が壊れてしまった時の考え方
これまでのお話の通り、メッキアクセサリー製品は劣化してしまうと、多くの場合で修復することができないため、新しい商品に買い替えることが多いです。そのため、メッキアクセサリー製品は使い捨てと割り切る必要があります。
しかし、『修理ができない』ということを分かっていれば、劣化してしまった際に、どういった対応をしてもらえるのかをショップに確認することができますので、「長く使いたいな!」と思うアイテムに出会った時はお店に聞いてみて下さい。
まとめ
最近メッキアクセサリー製品のお修理について、ご相談を頂く機会が多くなりましたので、こちらの記事をご紹介させて頂きました。
メッキアクセサリー製品は劣化を止められず、使い捨てにはなってしまうものの、安価・軽い・デザインが豊富といったメリットもあります。そのため、イヤカフなど落としてしまいやすいアイテムに取り入れるのは良いかもしれません。
ただ、金属アレルギーを起こしやすいアイテムが多いため、安易に多用してしまうと金属アレルギーを罹ってしまい、銀歯やジュエリーを着けることが出来なくなってしまうこともあるため「アレ?」と思った時には注意が必要です。
ジュエリーもアクセサリーも用途によって上手く使い分けて、毎日のコーディネートを楽しんで頂けましたら幸いです。