金 (ゴールド) の歴史と物質としてのちょっとディープな話【第一講】

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金 (ゴールド) は鉱物の中でも、とても多様な使われ方をしています。ちょっと想像してみても、貴金属として、工業製品の材料として、財産として、など色々と思いつきますね。今回はそんな多くの分野で活躍する金について掘り下げてご紹介していきます。

こちらの記事では金 (ゴールド) とはどんな物質なのか、そして歴史上どんな使われ方をしてきたのかについてご紹介致します。「普段なにげなく金の指輪をしているけど、金って何?詳しく知りたい!」という方におススメの内容です。

当店はジュエリーショップですので、金 (ゴールド) の純度・色・メッキのちょっとディープな話【第二講】では地域や文化で異なるジュエリー用ゴールドの標準純度の違いや、金の色ごとの組成、メッキとゴールドフィルドの違いなどをご紹介。

そして、金 (ゴールド) のコーディネートのちょっとディープな話【第三講】では金の持つ意味やイメージ、ジュエリーコーディネートやお手入れ方法、ホワイトゴールドとプラチナの違いについて、と進めていきますので、全てご覧頂けたら嬉しいです。

ジュエリーに使われている貴金属全般についてのお話は金、プラチナ、銀、ジュエリー選びの参考に!貴金属の種類と特徴でご紹介しておりますので、こちらをご参照下さい。

 

金 (ゴールド) の物質としての話

金は元素記号でAuと表される単一の金属です。純金は黄色から茶にかけての色味で金属光沢があり、華やかな色味をしています。粘り気が強いので加工しやすく、紀元前より実用品・美術品を問わず、様々な装飾品に用いられています。

また、熱や電気を通しやすい性質、と腐食しにくい特性から、古くは貨幣、現代では電化製品やコンピュータ部品として、幅広い分野で使われています。単一ではとても柔らかいため、他の金属を混ぜて硬度を高めて使用されることが多いです。

南アフリカ共和国、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ロシアなどで産出されています。

 

金 (ゴールド) の歴史

金はその扱いやすい金属特性から、歴史上、様々な用途で使われてきました。代表的な使用例から金の歴史をご紹介します。

装飾品としての歴史

金は精製を必要としない形で産出され、かつ加工性の良い金属のため、紀元前3000年頃から青銅と共に使われてきました。人類にとって鉄よりも長い歴史を持つと言いますから驚きです。扱いやすさ・耐久性が高い万能の金属である反面、非常に希少な金属です。

それゆえ、金は王族を中心とした一部の上流階級の権威の象徴として身に着けられたり、贈答品として加工される機会が多かった様です。紀元前1300年頃に作られた古代エジプト文明の、ツタンカーメン王の黄金のマスクが有名ですね。

日本にも中国の魏の国から邪馬台国の卑弥呼が賜った金印や、漢の洪武帝から奴の国に贈られた漢委奴國王 (かんのわのなのこくおう) の金印があります。その後、長い時を経て、主にヨーロッパ圏の貴族社会を中心に加工法や精製法が確立されていきました。

そのため、現在私達が身に着けているジュエリーやアクセサリーの基礎は、フランスやイギリスを中心としたヨーロッパ圏にあります。

工業製品としての歴史

1700年代からのイギリスの産業革命以降、世界的に工業化が進み、1900年代中盤になるとコンピュータが発明されました。金は熱や電気の伝導性が良く、腐食しにくい性質であるためコンピュータの電子部品として用いられるようになりました。

その後、コンピュータだけでなくカメラ、テレビ、携帯電話などの生活家電の基盤部分にも用途が広がりました。しかし、金は希少で高価なため、代用の金属を使用することが主流になり、現在では工業製品にはあまり使われておりません。

2000年頃までの電化製品には金が使われていたので、廃品回収業者が集めた電化製品から金を取り出していましたね。工業製品から金を取り出す方法を解説している記事を書いた方がいらっしゃいましたので、こちらも併せてご紹介しておきます。

貨幣としての歴史

金はその希少性と万能性から世界中で価値が認められ、人々にとって最も信頼できる価値を持つ金属として扱われました。「この品物なら金○分の1と交換」「この労働は金○分の1の働き」といった感じで、金は価値判断の中心に考えられていきます。

金製の硬貨すなわち金貨の誕生です。金製の硬貨であれば万が一国が無くなってしまっても、金と必要な物品を交換すれば移民先の地域で生活ができます。この様な利点や腐食しにくい特性から、紀元前670年頃には既に金を使用したエレクトロン貨という貨幣使われるまでになりました。

やがて金への信頼性は個人に留まらず、金の保有率 = 安定した国家 という図式が生み出されます。近代になるとこの考え方は更に強まり、1800年代からロシア、イギリス、アメリカなどで多くの金貨が発行され、国際通貨となりました。

しかし、金は希少金属ですので、戦争や恐慌などで多くの人々が同時に金貨を求めると流通システムが上手く機能しなくなるため、金貨を用いた貨幣制度は廃止されました。現在では、金は国際リアルタイム相場によって価値付けされる世界各国の第二の貨幣となっています。

 

金 (ゴールド) が使われている主な物品の例

ジュエリー
指輪、ネックレス、ピアス、バングル
建物・調度品
建築物、椅子、机、シャンデリア
美術品
絵画、額、壺、像
医療品
金歯、医療用マーカー、治療用の針
美容品
美容液、美顔器、化粧品、パック
工業用品
電子部品の保護材・接触端子など (高価なため、現在ではあまり使われていません。)
投資商材
先物取引、ETF、投資信託、純金積み立て

 

まとめ

金ほど幅広いジャンルで利用され、世界中から羨望を集めている金属は他にありません。また、交換価値という点でもモノが価値の指標となってきた現在まで、金は世界的に飛び抜けて信頼性が高いモノです。

今世紀に入り、ビットコインなどの仮想通貨が生まれて、徐々にハードの世界の存在感に対してソフトの世界が重視されてきています。これから何十年・何百年と経った未来にはハードの代表格である金がどのように使われ、価値付けされているかが気になりますね。

未来のことは分かりませんが、私は人がハードの世界の生き物である以上、物質であるモノの価値は残っていくと思います。金は今より価値の高いものになるのかもしれません。あなたはどうお考えになりますか?そんなことに想いを巡らせるのも楽しいです。

あなたのお手元にある、もしくはこれからお求めになろうとしている「金」は、そんな過去・現在・未来を歩んでいる特別なモノなのです。

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