金 (ゴールド) の純度・色・メッキのちょっとディープな話【第二講】

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金 (ゴールド) は鉱物の中でも、とても多様な使われ方をしています。ちょっと想像してみても、貴金属、工業製品の材料、財産など、色々と思いつきますね。今回はそんな多くの分野で活躍する金について掘り下げてご紹介していきます。

当店はジュエリーショップですので、こちらの記事では、地域・文化によるジュエリー用ゴールドの純度の違いイエロー・ホワイト・ピンクゴールドといった成分による色の違いゴールドフィルド (金張り) と金メッキの違いに関してご説明しています。

「タイで売っているネックレスはどうして純度が高いの?」「同じ18金なのにどうして色の違いがあるの?」「ゴールドフィルドと金メッキって何が違うの?」などのジュエリー・アクセサリーとしての金に疑問のある方におススメの内容です。

金 (ゴールド) の歴史と物質としてのちょっとディープな話【第一講】は、金という物質と金の歴史についてのお話。

金 (ゴールド) のコーディネートのちょっとディープな話【第三講】では金の持つ意味やイメージ、ジュエリーコーディネートやお手入れ方法、ホワイトゴールドとプラチナの違いについて。と進めていきますので、全てご覧頂けたら嬉しいです。

ジュエリーに使われている貴金属全般に関しては金、プラチナ、銀、ジュエリー選びの参考に!貴金属の種類と特徴でご紹介しておりますので、こちらをご参照下さい。

 

ジュエリー用ゴールドの純度の違いはその地域の文化による

ジュエリー用途で使われている金の純度には地域によって違いがあります。それぞれの地域で使用されている金の純度は歴史や文化と密接に関係し合っています。それでは早速、様々な事例を見ていきましょう。

日本

18金と呼ばれる純度75%の金が主流です。最近は10金 (純度41%) や14金 (純度58%) の品物も増えてきました。

日本ではもともと和装が華やかだったためジュエリーを身に着ける習慣がありませんでしたが、明治時代に入ってヨーロッパ地域からその習慣が輸入されました。現在もジュエリーに関する基準はほとんどがヨーロッパの基準に基づいています。唯一、プラチナを多用することが日本独自の文化です。

ヨーロッパ地域

加工性と耐久性のバランスが良い18金が主に使われ、現在のジュエリーの国際基準ともなっています。

100年以上前のヨーロッパ地域のジュエリーでは9金 (純度37%) から10金 (純度41%) が主に使われています。これは金の精製技術が不完全だった他、金が大変希少であったためです。18金が使用されるようになったのは現代に入ってからです。

中国・中央アジア

20金 (純度83%) から22金 (純度91%) のジュエリーが多いです。合金にメッキされた偽物も多いので、購入には注意が必要です。

中国を中心とした地域では政治的に不安定な時期が長く、金を資産として身に着ける習慣が定着しました。そのため、加工性や耐久性よりも純度を優先させたジュエリーが多く見られます。この傾向はインドやタイなどの中央アジアにも見られます。

アメリカ

14金 (純度58%) から18金 (75%) が多いです。ハワイアンジュエリーでは主に14金が使われています。

ハワイアンジュエリーはプレーンな指輪を彫ってデザインするため、彫りやすい様に硬度の高い14金を使用しています。また、アメリカでは過去に、金を備蓄するために高純度の金製品の製造を禁止する国の政策が制定されており、その名残とも言われています。

 

金は紀元前から貴金属と見なされ、国力と密接な関りがありました。そのため、金を切り口にその国の歴史をさかのぼると「国」そのものが見えてくるので面白いです。国家としての歴史の長さや、災害・気候などの物理的、戦争・経済などの政治的側面が表われてきます。

代表的な国と地域をご紹介しましたが、気になる方は他の国も調べてみて下さい。きっとその国が抱える内情が見えてくると思います。現代ではグローバリゼーションにより国による金の扱われ方の違いは薄くなり、どの地域でも18金がスタンダードになってきました。

 

成分によって変わる金のカラーバリエーション

ジュエリーには主にイエローゴールド・ホワイトゴールド・ピンクゴールドの3色が使われています。金は単体では柔らかいため、別の金属を混ぜて強度を持たせます。その際、混ぜる金属の種類や量によって色や特性が変化します。

今回は代表的な金合金である18金を例にしてご説明します。18金の場合、金が75%、銀と銅が合わせて25%です。この銀と銅の配合率によって全体の色と合金としての特性が変わってきます。

イエローゴールド
銀・銅の比率は 6 : 4 もしくは 5 : 5。戦後まもなくは銀も貴重な金属だったため 4 : 6 で配合されていた。
ホワイトゴールド
色を白くするためにパラジウムが用いられる。パラジウム・銀・銅の比率は 4 : 3 : 3。地金はクリーム色のため、通常、製品完成時にロジウムメッキ加工される。
ピンクゴールド
銀・銅の比率は 2 : 8。銅を多く含むため黒くなりやすく、イエローゴールドやホワイトゴールドより加工が難しい。

この他にも特殊な色としてブラックやパープルなどがありますが、合金としては不安定なため、同じ色にならなかったり費用が高くなってしまいます。また、特殊合金はお修理も難しくなりますので、前途の3色から選ぶ方が良いでしょう。

ホワイトゴールドについては色を白くするためにパラジウムが用いられますが、費用を抑えた製品を作るためにニッケルを用いるメーカーもあります。ニッケルは金属アレルギーを起こしやすい金属ですので、ニッケル配合のホワイトゴールドは避けた方が無難です

 

ゴールドフィルドと金メッキの違い

アクセサリー用の金は地金そのものとしてだけではなく、真鍮やスズ合金などの製品の表面加工としても使用させます。その目的は色を美しく見せたり、金属アレルギーを起こしにくくするなどで、ゴールドフィルド (金張り)・金メッキとして使われています。

どちらもハンドメイドでアクセサリーを作られる方には、馴染み深いワードだと思います。ゴールドフィルドと金メッキは別の表面加工なのですが、混同されている例もよく見ますので、その違いと特徴についてご説明致します。

ゴールドフィルド
真鍮などの金属の表面に金を張る方法です。メッキに比べて厚く耐久性が高いです。
金メッキ
真鍮などの金属の表面に電解によって金属を塗る方法です。厚くする場合にはメッキ作業を繰り返します。

これらのことから、金属アレルギー対策として考える場合は、金メッキよりゴールドフィルドの方が適しています。それに対し、ジュエリーやアクセサリーの「一部分を金色にアレンジしたい!」などのデザイン上の効果を目的とする場合は金メッキが良いでしょう。

 

ゴールドフィルドや金メッキに表記されている純度は本当?

14金ゴールドフィルドや24金メッキと記載されてるアクセサリーや眼鏡などをご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。そんな時、色味だけでなく実際に表記通りの純度の金が使われているのか気になったことはありませんか?

加工している国や業者にもよりますが、日本国内で生産されたものであれば、標準的には表記通りの純度の金が使われています。ただし、ゴールドフィルドと金メッキのどちらも表面加工であり、厚みは数ミクロン単位ですので資産的な価値は望めません。

 

まとめ

古代から金の変遷を追っていくと歴史に関わる様々な事柄が分かってきます。さすが紀元前から現在まで途切れることなく世界中で重用される金属ですね。お子様の自由研究の題材として一緒に勉強しても楽しいですよ。

今回はジュエリーやアクセサリー用途の金についてご紹介しました。好みの指輪やネックレスを見つけて「イエローもピンクも可愛いな!どっちにしよう?」という場面や、「自分でアクセサリーを作ってみようかな?」という機会に活かして頂けたら嬉しいです。

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