9月の誕生石であるサファイヤ (sapphire) の魅力を詳しくご紹介していきます。
サファイヤについて
サファイヤの産地と鉱物学
モース硬度は9.0。ダイヤモンドに次ぐ硬さで、宝石の中では傷つきにくい石です。
ミャンマー、カシミール、スリランカ、マダガスカル、タイ、中国等で産出、研磨されています。
鉱物的な呼称はコランダム。宝石としては赤いコランダムをルビー、赤よりも薄いピンク、ブルー、イエロー、オレンジ、透明色などのコランダムをサファイヤと呼びます。この色の違いはコランダムの組成の中に、別の元素が微量に混じることで起こります。
特に青色系のサファイヤの価値は高いものが多く、青玉 (蒼玉) という和名で知られています。
サファイヤの宝石的な価値は処理の有無と産出地によって大きく変わります。
現在、流通しているサファイヤの多くは、伝統的に加熱処理により色を濃くする加工が施されていますが、一部に加工を施さなくとも美しいサファイヤが存在します。こういったサファイヤは非加熱サファイヤとして区別され、市場価値も高く評価されます。
また、産出される鉱山の成分によってサファイヤの輝きが大きく変わるため、ミャンマーやカシミールで採れるサファイヤには鉱山ブランドの価値がつきます。反対にタイで産出されるサファイヤは低品質のものが多く、あまり価値がつかない傾向にあります。
サファイヤにまつわる言い伝え
サファイヤはその深く美しい蒼色から、キリスト教では天界そのものと考えられていました。「天界のベッドや椅子等、様々なものがサファイヤで作られている」と言われていたことを表す文献が残っています。空の蒼さはサファイヤの蒼さというわけですね。
今回はその文献の中から、馴染みのある登場人物が出てくるお話を取り上げます。
天界にラジエルという大天使がいました。ラジエルは神が作った人間界を繁栄させるため、この世の全ての謎を一冊の書に纏め、人間達に伝承させようと考えました。この書はサファイヤを切り出した石板で作られ、天使達でさえ知らない知恵が書かれていた様です。
ラジエルは地上に降り立ち、この書を天界を追放されたアダムのところに持っていきました。ラジエルから書を預かったアダムは、熱心に書の内容を人々に説こうとしますが、自分達より人類が賢くなってしまうことを恐れた天使達が書を奪い投げ捨ててしまいます。
しかし、これを見ていた神は書を探し出し、再びアダムの元に戻します。喜んだアダムはこの書を人類の宝として大切に保管し、説いていきました。そして書は永い年を経てノアの元に渡り、ノアはこの書を読み方舟を完成させました。
そして時を経て、書はソロモンに渡り、人類に発展をもたらしました。現在でもこの書は知恵という名で人々に受け継がれているというお話です。
私達が一度は耳にしたことがあるノアの箱舟やソロモンの伝説ですが、それぞれのお話を結びつけるように、この大天使ラジエルの書のお話があることが面白いですね。
【知恵は神から授けられたもの】の表現として【書がサファイヤでできている】という書き方からもサファイヤが天界の神聖な宝石と考えられていたことが分かります。
サファイヤが持つ意味
サファイヤは天界の宝石とされていたことから、聖職者に愛されてきました。邪念や不安を取り除く助けとなり、精神的な強さを得ることできます。サファイヤを使い、内面を鍛えることで病気や災難から身を守ることができると言われています。
インドやスリランカ、エジプトではサファイヤを粉末状にして薬として服用した時代がありました。風邪薬・解熱剤・向精神薬として使用された様です。これらの病は魔によって起こるとされていたため、神聖なサファイヤで治癒を行うという意味だったのでしょう。
サファイヤの宝石言葉
- 誠実
- 私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。
- 信頼
- 信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち。
- 慈愛
- 親が子供をいつくしみ、かわいがるような、深い愛情。
デジタル大辞泉から抜粋
サファイヤのプレゼントが適している方
サファイヤは「最近なんか上手く行かないな~」と思われている方や「よし、心機一転○○をやってみよう!」と思われている方に最適な宝石です。目的を持った方には、誘惑に打ち勝ち、自分自身を律して生活リズムを整える大きな手助けとなるでしょう。
反対に「何かラッキーなことが起きないかな?」と他力本願に考えている者には力を貸さない宝石と言われています。サファイヤは厳格な宝石ですので、怠惰な生活を望む者や快楽ばかり追う者が身に着けると罰が下るようです。やはり自助努力が必要ですね。
まとめ
サファイヤは厳しくも努力する人を応援してくれる天空の宝石です。厳格な父の様な宝石、素敵ですね。9月の誕生石はサファイヤのみですが、サファイヤには様々なカラーバリエーションがありますので、ショップに希望の色を伝えてみるのも良いと思います。
また、プレゼントしてあげようと思った時は宝石言葉や言い伝えも一緒に伝えてあげると一層喜んで大切にしてもらえますので、試してみて下さい。この時にご自身のお気持ちを誕生石の意味に託して話すとより良いです。
誕生石をプレゼントする時は誕生石ジュエリーがオススメ
誕生石をプレゼントする際は、石のみを巾着などに入れてプレゼントする方法と、誕生石のジュエリーを贈る方法があります。
誕生石はお守りとして石のみを大切に持ち歩くのも良いのですが、ジュエリーとして指輪やペンダントネックレス、ピアス等にしてあげた方が紛失してしまいにくく、いつでも宝石の美しさを楽しめるのでオススメです。
誕生石のジュエリーをプレゼントする際に気を付けるべきこと
誕生石のジュエリーは、いつも身に着けてあげた方が仲良くなれます。プレゼントであれば、貰った方のことも近くに感じることができますよね。そのため、出来るだけシチュエーションやファッションに影響されないシンプルなデザインがオススメです。
大きすぎるデザインや、重さを感じるジュエリーは毎日つけるものとしては使いにくく、徐々に使わなくなってしまうので避けた方が良いでしょう。プレゼントされる方がつけやすいもの、お持ちのお好きなジュエリーとも一緒に使えるものを選びましょう。
シンプルな誕生石ジュエリーのデザイン例
100年以上前のアンティークジュエリーにもよく使われたサファイヤとイエローゴールド配色は落ち着いた優しさがあります。
シンプルなミル打ち加工のペンダントネックレスに、サファイヤの深い蒼はホワイトゴールドと良く合います。
9月の誕生石サファイヤについて様々な角度からご紹介させて頂きました。誕生石の意味を調べたり、大切な方へ誕生石のジュエリー・アクセサリーをプレゼントされる際にお役立て頂けましたら幸いです。