2月の誕生石であるアメジスト (amethyst) の魅力を詳しくご紹介していきます。
アメジストについて
アメジストの産地と鉱物学
モース硬度は7.0。人の歯と同じくらいの硬さです。
日本、インド、スリランカ、ウルグアイ、メキシコ、ブラジル、アフリカ諸国等で産出・研磨されています。
様々な国で古くから産出されているため、世界各国でパワーストーンとして愛され今日に至ります。現在では、ジュエリー用途の他、アメジストの生成される母岩ごと切り出したクラスターと呼ばれる置き物の状態でも取引されています。
和名を紫水晶と言い、その名前の通り水晶 (クウォーツ) の一種で非常に近い特性を持っています。加工性が良いため、古くは勾玉や像、現代では様々なデザインジュエリーの宝石として、特徴的なカットが施されたアメジストもよく見られます。
日本国内では、宮城県や鳥取県が産地として有名です。特に宮城県の雨塚山 (あめづかやま) はコレクターに人気の産地になっています。山梨県の甲府市も水晶の街として有名ですが、アメジストはあまり良質なものが採れないため、研磨地となっています。
アメジストは日光や蛍光灯などから放射される紫外線によって色が薄くなってしまう性質を持っています。窓際などに長時間置いたままにしてしまうと、美しい紫色が失われてしまいますので、保管場所にはご注意下さい。
アメジストにまつわる言い伝え
アメジストは古代からお酒に呑まれないためのお守りとして重用されていました。アメジストという宝石名はギリシャ語で「methus (酒に酔う)」という言葉に否定形の接頭語「a」を付けた「amethustos (アメテュストス)」から変化したものです。
一説によるとエジプトの絶世の美女と言われるクレオパトラも、数々の男性からの「酔わせて我がものにしてやろう作戦」から逃れるために、酒宴の前にアメジストを砕いた粉を飲んでいたと伝わっています。
アメジストがお酒に酔わない宝石とされていたことは古代のギリシャやローマでは通説であったようですが、なぜなのでしょうか?実はギリシャ神話に、こんな物語が語り継がれてアメジスト伝説が定着していったようです。
豊穣と葡萄酒の神であったディオニューソスはその時、些細なことでイライラしていた。気持ちの昂ぶりが収まらないので、気を紛らわそうと家来と一匹のトラを連れて散歩に出かけた。その時に悪だくみを思いついてしまう。
「そうだ、散歩で初めて出会った者をトラに食べさせてしまおう。そうしたら少しは気が晴れるかもしれない。」そこに偶然に通りかかってしまったのが、若く美しい女性精霊のアメジストであった。
アメジストは月の女神アルテミスと謁見するためにアルテミスの住む神殿に急いでいるところだった。ディオニューソスはアメジストを見かけるや否やトラを放ち、アメジストが食いちぎられる瞬間を固唾 (かたず) を飲んで待った。
「あっ!」アメジストが振り向いた時には既にトラはアメジストのすぐ背後に忍び寄っていた。そして大きな口を開けた瞬間、「危ない!」離れていても状況を察したアルテミスは、アメジストを一瞬で石に変えてしまった。
その光景を茫然と見守っていたディオニューソスは我に返り「私はなんということをしてしまったのか!」と慌て、後悔した。ディオニューソスは暴れるトラをなだめ、足元に落ちた石を拾い上げると、石を最高級の葡萄酒で満たした。
石はみるみる美しい紫色になり、アメジストは美しい宝石になった。ディオニューソスは、その美しい宝石を両手でそっと包み宣言した。「今後アメジストを手にした者は、いかなる時でも酒酔いから守られるであろう。」
こうしてアメジストは、お酒から身を守る石となりました。アメジストにとっては非常に迷惑で、ディオニューソスのかなり自分勝手な神話ですね。神話だけ聞くと「え?この神話を聞いてみんな信じていたの?」と思ってしまいます。
上質のアメジストは赤ワインの色に近く、赤ワインより少し濃いことから、ワインに染まりそうで染まらない = お酒に呑まれそうで呑まれないという解釈が、神話とセットで伝えられた背景が信ぴょう性の要因となったようです 。
アメジストが持つ意味
アメジストは、お酒に呑まれないという意味から転じて、熱狂的になり過ぎて視野が狭くなってしまうことを防ぎ、妄信的に一つの物事を信じてしまう状態から解放してくれる宝石です。精神が安定して、新しいアイディアが生まれるでしょう。
古代ローマ時代では、アメジストに太陽と月を彫ってお守りにすると、様々な災い・毒物・病気から身を守ってくれると信じられていたようです。中世のキリスト教では11番使徒の聖マタイの宝石と呼ばれ、信仰に対する献身のシンボルとされていました。
アメジストの宝石言葉
- 誠実
- 私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。
- 知性
- 物事を知り、考え、判断する能力。人間の、知的作用を営む能力。
- 調和
- ととのいやわらぐこと。偏りや矛盾や衝突などがなく、互いがほどよく和合すること。また、そうさせること。
デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典から抜粋
アメジストのプレゼントが適している方
アメジストは物事が思うように進まずに戸惑っている状況に置かれている人にオススメです。
「仕事でプロジェクトを抱えているけれど、なかなか成果が上がらない。」「試験勉強を頑張っているけれど、時間をかけても頭に入ってこない。」こういった状況の時に精神を落ち着かせて視野を広げるサポートをしてくれる宝石です。
見落としていたアイディアや、自分に合った新しい方法を気づかせてくれるので、本来のご自身のペースが取り戻せるでしょう。
まとめ
アメジストは、物事に真剣に向き合っているがゆえに周りが見えなくなってしまう状況から解放してくれる宝石です。「頑張っているのに何で上手くいかないんだろう?」と感じられた時や、悩まれている恋人・家族・ご友人へのプレゼントに向いています。
誕生石は、ご自身で選ぶ際もプレゼントする時も、状況に合った意味を持つ誕生石を選びましょう。プレゼントする際には宝石言葉や言い伝えも一緒に添えてあげると喜んでもらえますよ。その時にお相手にあなたの想いも合わせて伝えることを忘れずに。
誕生石をプレゼントする時は誕生石ジュエリーがオススメ
誕生石をプレゼントする際は、石のみを巾着などに入れてプレゼントする方法と、誕生石のジュエリーを贈る方法があります。
誕生石はお守りとして石のみを大切に持ち歩くのも良いのですが、ジュエリーとして指輪やペンダントネックレス、ピアス等にしてあげた方が紛失しにくく、いつでも宝石の美しさを楽しめるのでオススメです。
誕生石のジュエリーをプレゼントする際に気を付けるべきこと
誕生石のジュエリーは、いつも身に着けてあげた方が仲良くなれます。プレゼントであれば、貰った方のことも近くに感じられますよね。そのため、出来るだけシチュエーションやファッションに影響されないシンプルなデザインがオススメです。
大き過ぎるデザインや、重そうなジュエリーは毎日着けるものとしては使いにくく、徐々に使わなくなってしまうので避けた方が良いでしょう。プレゼントされる方が着けやすいもの、お持ちのお好きなジュエリーとも一緒に使えるものを選びましょう。
シンプルな誕生石ジュエリーのデザイン例
イエローゴールドの金・アコヤパールの白・アメジストの紫が絶妙なカラーバランスのフリーサイズリングです。
ホワイトゴールドとアメジストのシンプルなネックレスの組み合わせは清楚でシックな雰囲気になります。
2月の誕生石アメジストについて様々な角度からご紹介させて頂きました。誕生石の意味を調べたり、大切な方へ誕生石のジュエリー・アクセサリーをプレゼントされる際にお役立て頂けましたら幸いです。