ジュエリーを長く楽しむヒント。国内販売している貴金属の種類と特徴

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あなたは指輪やネックレス、ピアスなどを購入する際にどんなことをポイントとして選んでいますか?多くのケースではデザインや金額を中心に選ぶことが多いと思いますが、面積の多くを占めている「金属」の種類に注目することも重要なポイントです。

と、言いますのも、当店ではジュエリーやアクセサリーのお修理オーダーメイドリフォーム等を多く承っているのですが、金属の種類によって、購入時は安価でも修理ができない場合や、加工料金が割高になってしまうことがあるからです。

また、ご使用による経年劣化の進み具合も金属の種類によって変わってきます。ということで、今回はジュエリーを楽しむにあたって、日本国内で一般的にジュエリーとして販売されている金属の特徴や、長期使用にオススメの金属をご紹介していきます。

 

ジュエリーやアクセサリーに使われている金属は多種多様

現在、ジュエリーやアクセサリーに使われている金属の種類は、鉄や亜鉛の合金からレアメタル、貴金属まで本当に様々です。

多様な金属の種類と違いについて気になる方は「ジュエリーとアクセサリーはどう違う?金種で比較する金額と耐久性」という記事でご紹介しておりますので、そちらをご覧頂けたら幸いです。

今回は、様々な素材の中から「ジュエリー」に使用される「貴金属」に焦点を当て、国内で一般的に販売されている次の11種類の貴金属素材の金属特性・加工特性などを一つ一つご紹介させて頂きます。

  • プラチナ1000 (Pt1000)
  • プラチナ900 (Pt900)
  • プラチナ850 (Pt850)
  • 18金イエローゴールド (K18YG)
  • 18金ホワイトゴールド (K18WG)
  • 18金ピンクゴールド (K18PG)
  • 10金イエローゴールド (K10YG)
  • 10金ホワイトゴールド (K10WG)
  • 10金ピンクゴールド (K10PG)
  • その他のカラーゴールド
  • シルバー925 (SV925)

14金もハワイアンジュエリー等に使われる主要な金属ですが、特性は10金に近いため、10金の項目をご覧下さい。

 

国内でジュエリーに使われている主要な金属とそれぞれの特徴

それでは、早速ジュエリーとして使われている主な金属の特徴についてご紹介していきます。

プラチナ1000 (Pt1000)

純プラチナに、ごく僅かな硬化剤を混ぜて作られた貴金属素材です。混じり気のない素材というイメージから結婚指輪でよく使用される金種ですが、指輪のサイズ直しを行う際に足す金属はプラチナ900が一般的です。

また、当店の職人からの「一部のプラチナ1000の指輪は加熱によりヒビ割れが起こることがある」という報告があったため、当店ではプラチナ1000での指輪のお作りや、サイズ直しの修理は現在承っておりません。

プラチナ900 (Pt900)

プラチナ製の指輪やペンダントトップ、ピアスによく使用されている最もポピュラーなプラチナ素材です。耐久性や加工性を考慮して90%のプラチナに10%のパラジウムを加えて合金化されています。

一般的に最も多く流通しているプラチナ素材のため、ジュエリーの破損修理やメンテナンスにも使われる金属です。

プラチナ850 (Pt850)

プラチナ900より若干純度を落とし、耐久性を重視した金属です。定型のチェーンや指輪などに多く使われています。指輪のサイズを大きくするお修理を行う際にはプラチナ900の部材を追加して加工されます。

18金イエローゴールド (K18YG)

純金のままでは柔らかく変形してしまいやすいため、75%の金にバランスよく銀と銅を加えてジュエリーとしての耐久性と加工性を向上させた金属です。ジュエリーに使われている金の中で最も流通している一般的な素材です。

メーカーによって銀と銅の混合バランスが若干異なることがあり、お修理などのメンテナンスの際には全体の色調整が必要になるケースもありますが、比較的に長く使っていける金属です。

18金ホワイトゴールド (K18WG)

純金に銀と漂白効果のあるパラジウムやニッケルを混ぜ込んだ金属です。ニッケルは金属アレルギーを起こしやすいため、日本国内では肌に触れる箇所にニッケル混合のホワイトゴールドが使われることはあまりありません

一般的なホワイトゴールドの地の色はアイボリーのため、ロジウムメッキ加工を施して販売されていることがほとんどです。日本ではプラチナ色のジュエリーはプラチナを使用することが多いですが、EU圏ではホワイトゴールドが主流です。

18金ピンクゴールド (K18PG)

75%の金に、銀と銅を混合する際に銅を多めに加えた金属が18金ピンクゴールドです。

色調がキュートで肌なじみが良いというメリットの反面、銅の特性が強く出てしまうため、経年によってくすみやすい、加工性があまり良くない、メンテナンス費用が割高になりやすい、といったデメリットがあります。

10金イエローゴールド (K10YG)

約42%の金に、銀と銅をバランスよく混合した合金です。銀と銅の比率が高いため、やや白みが強い金色をしています。18金に比べて安価なため、比較的に気軽にジュエリーを楽しむことができる素材として人気があります。

指輪のサイズを広げる場合など、追加地金を加える修理の際には、足し地金には18金を用いて加工を行い、修理完了後に10金イエローゴールドメッキを施して全体の色調を整える方法が一般的です。

10金ホワイトゴールド (K10WG)

約42%の金に、銀と銅に加え漂白作用のあるパラジウムやニッケルを加えた金属です。18金のホワイトゴールドと同様、地の色はアイボリーカラーですが、金純度の低い分、より薄い色をしています。

ジュエリーへ加工した後にロジウムメッキを施してプラチナ色に仕上げることが一般的です。そのため、重量の差こそありますが、外見からは18金と10金のホワイトゴールドを判別することは困難です。

10金ピンクゴールド (K10PG)

42%以上の金に、多めの銅と少量の銀を加えた素材が10金ピンクゴールドです。銅の比率が多いため、生地の状態では早いと数か月で色がくすんでしまいます。変色を遅らせるために加工後に10金ピンクゴールドメッキを施すことが多いです。

18金ピンクゴールドと同様、加工性はあまり良くないため、修理等のケースでは費用が割高になりがちです。

その他のカラーゴールド

金に多めの銀と少量の銅を加えたグリーンゴールド、アルミ成分を加えたパープルゴールドなど、イエロー・ホワイト・ピンク以外の色に調整した金をカラーゴールドと言います。

見た目が新鮮なのでイタリアを中心としたインポートブランドでは積極的に取り入れられている素材ですが、金属としての安定性があまり良くなく、加工性も悪いため、破損時に修理できないケースが多いです。

シルバー925 (SV925)

92.5%の銀に銅や亜鉛、ニッケルなどを混合した素材がシルバー925です。別名スターリングシルバーと呼ばれ、標準的なジュエリー品質の銀とされています。銀は他の貴金属に比べて希少性が薄いため、比較的安価で手に入れることができます。

そのため、場合によってはジュエリーではなく「シルバーアクセサリー」と表現されることもあります。比較的加工性は良いのですが、修理の場面では柔らかく、溶接材との色の差が出やすいため、お修理跡の残りやすい素材です。

 

長く楽しむことを前提とする際にオススメの金属

ご結婚指輪やデイリーユースのジュエリーをご購入される際は、ご予算に余裕がある場合は使用の耐久性・お修理時の修復性・追加する部材の市場における流通量を考慮して、プラチナ色ならプラチナ900、金色なら18金イエローゴールドがオススメです。

気軽にジュエリーを楽しみたいという場合は、プラチナ色の場合はシルバー925、金色は10金イエローゴールドも良いかもしれません。しかし、シルバー925や10金イエローゴールドは変色しやすく、お修理跡が残りやすいことを念頭に置いておきましょう。

 

まとめ

結婚指輪では「ほぼ100%のプラチナが持つピュア感と特別感」からプラチナ1000だったり、デザインジュエリーでは「今まで見たことのない色」としてカラーゴールドが用いられることもあり、これらは今後も増えていくと思われます。

しかし、「好きなジュエリーを長く使っていく」という視点では、私個人としては日本国内で普遍的に使われている貴金属素材で作られたジュエリーを選ぶ方が、後々のことを考慮しても、安心して楽しめるのではないかと思っています。

ただ、ハワイアンジュエリーが伝統的に14金を用いているように、「14金だからこその風合いがある」「このデザインと宝石にはピンクゴールドが最も合う」といった場面もあり、当店でもアイテムによって、これらの素材をチョイスすることもあります。

ですので、オススメに列挙しなかった素材が良くないというわけではありませんので、ご紹介させて頂いた素材特性を参考にして頂きながら、お持ちのジュエリーや、これからご購入されるジュエリーと長く良い関係を築いていって下さったら嬉しいです。

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