【ファッションに興味がある人必見】知る人ぞ知る美術館-アクセサリーミュージアム(中編)

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ファッション、アンティークジュエリー、ヴィンテージアクセサリーにご興味がある方には必見の、東京都祐天寺駅近くにあるアクセサリーミュージアムの《見どころ》をご紹介している記事です。

前編では、入館してすぐの部屋に展示されているアールデコの時代の品々を紹介しました。中編ではヴィクトリアンの時代、そしてこの時代の文化運動アールヌーボーをクローズアップしていきます。

前編はこちら:【ファッションに興味がある人必見】知る人ぞ知る美術館-アクセサリーミュージアム(前編)

後編はこちら:【ファッションに興味がある人必見】知る人ぞ知る美術館-アクセサリーミュージアム(後編)

 

ヴィクトリアンの時代(1837年~1901年)

ヴィクトリアン時代は、アンティークジュエリーやヴィンテージアクセサリーについて語る上で、とても重要な年代です。それは、産業革命により巨万の富を得たイギリスが経済的、文化的な発展を遂げた時期であったためです。

当時、貴族は謁見することが一番の仕事であり、領土は部下に守らせるため、多くの時間とお金を旅行や芸術に費やします。そのため、ファッションやジュエリーの最盛期となりました。

貴族達は日々、ロマンティックな感傷に浸り、草花を愛おしみ、愛を語らって過ごしていたと言われています。時間に追われて過ごす現代の私達には到底実現できそうもない世界ですね!

メッセージリング

メッセージリングとは宝石の頭文字をとってメッセージになるように並べた指輪を指します。リガード(親愛)リングや、ディアレスト(最愛)リングがオーダーされました。(リガードの場合 R=ルビー E=エメラルド G=ガーネット A=アメシスト R=ルビー D=ダイヤモンド を並べて作られたリング)

これらの作品の多くは貴族が愛人に贈るために作らせたようです。また、当時の貴族社会では直接的な表現が無粋だとされていたため、こういった間接表現で女性に想いを伝えていました。日本の貴族時代の短歌とも似ていますね。

カメオのブローチ

当時の貴族は、とにかく時間とお金があるので、グランドツアーというセレブな長期のヨーロッパ一周旅行に度々出かけていたようです。そこに目をつけたのがイタリアのカメオ職人達でした。

貝殻にギリシャ神話の神や女性の横顔を彫って、特産のお土産として売り出したのです。美しい彫刻のカメオは愛人達のステータスでもあり、「旅行に行くならカメオ買ってきて~♪」と大人気だったそうです。

ジェット

ヴィクトリアン時代とはヴィクトリア女王が国を統治していた時代なのでヴィクトリアンなのですが、この前代はアルバート公という方が国を統べていました。アルバート公とヴィクトリアはとても仲睦まじいご夫婦であったようですが、アルバート公は若くして亡くなられ、代わりにヴィクトリア女王が国を率いることになりました。

しかし、最愛の夫を亡くして失意の底にあったヴィクトリア女王は、その後約20年~30年に渡りジェット以外の装飾品を公に身に着けることを禁止する緘口令を敷きます。ジェットが忌を表すジュエリー、すなわちモーニングジュエリーであったためです。

 

(漆黒で艶やかなジェット。数年前まで日本でも公式な葬儀のジュエリーはジェットでした。ジュエリー優では他にはないジェットジュエリーを販売しておりますので、ご興味のある方はお問い合わせ下さい。)

この緘口令により、貴族のジュエリーは悲しみを表すジェット一色になります。とはいえ30年近くの間、ずっと悲しんでいられるのは、やはり感傷的になっていられる富と時間があったからですね。

もしこの先、AI(人工知能)が発達して人間の変わりに経済を回してくれる時代になったら、ヴィクトリアン時代の様な優美な世界がやってくるのでしょうか?インターネットで世界中が繋がっている未来は、この時代とはまた別の世界になりそうですね!

ジェットについて詳しく知りたい方はコチラ:最近話題の宝石「ジェット」とは?

 

アールヌーボー(1800年代後半~1900年代初頭)

ヴィクトリアン時代に生まれた新芸術の運動をアールヌーボーと言います。先述した通り、栄華を誇ったこの時代は芸術に力を注ぐことができたため、アクセサリーや絵画だけでなく、建築や生活用品すべてが芸術に彩られました。(ただし貴族のみです。)

草花や虫、女性をモチーフにしたゴージャスな装飾が、この時代の特徴です。また日本でもガラス工芸で人気が高いラリック、ガレ、ドームなどの芸術家が、この時代に活躍しました。オリエンタル文化が多く取り入れられた時代なので、日本人にも馴染み深い構図がよく見られます。

カゼインアクセサリー

牛乳に石灰を加えて樹脂にした素材をカゼイン樹脂といいます。アールヌーボーの時代はデザインによる表現は勿論のこと、新素材の研究にも多くの時間が費やされました。

ガラス工芸品

植物、昆虫と女性を掛け合わせたモチーフが多く見られます。この時代の作品をエログロと表現される方もいらっしゃいますね。この時代の新素材であったガラスは貴族の間で非常に人気があり、花瓶や壺、ランプシェード、そしてこの時代に発明された自動車のエンブレムもガラスで作られました。

オリエンタルアクセサリー

1884年に開かれた万国森林博覧会のためにイギリスに渡った日本人、農学者の高島北海が描いた日本画がヨーロッパで人気を呼び、オリエンタルテイストの作品が多く作られました。当時ヨーロッパには生息していなかった紫陽花をモチーフとした作品や、日本画を模した作品を見ることができます。

オートクチュールの黄金時代

オートクチュールとは最高の素材を使ったオーダーメイドを指します。アールヌーボーからアールデコにかけてオートクチュールは最盛期を迎えます。オートクチュールはフランス革命で、1793年にギロチン処刑されてしまったあのマリー・アントワネットのお抱えデザイナーであったローズベルタンという女性から始まったと言われています。

つまり、彼女は現在でいうファッションデザイナーの開祖ですね。マリー・アントワネットの没後は人気が急落し、貧困の末に亡くなったそうです。たった一人の死が、その後のヨーロッパファッションの流れを大きく変えてしまったわけです。もし処刑がなかったらアールデコから活躍したココ・シャネルや、現在のファッションデザイナーにも多大な影響があったはずです。

作品の展示だけでなく、こういった時代背景も見学できることがアクセサリーミュージアムの魅力ですね!

 

前編はこちら:【ファッションに興味がある人必見】知る人ぞ知る美術館-アクセサリーミュージアム(前編)

後編はこちら:【ファッションに興味がある人必見】知る人ぞ知る美術館-アクセサリーミュージアム(後編)

関連記事:アンティークジュエリーってどんな宝石?分かりやすく解説します!

 

イベント情報

アンティークジュエリーにご興味を持った方がもっと身近に、その魅力を体験できる場があればと思い、ジュエリー優では年に一度、10月にアンティークジュエリー展を行っています。

もちろん入場料無料で、普段は美術館でしか見れないような作品も多数展示しております。その場で見て、触って、解説を聞きながら遠い時に想いを馳せることができるイベントになっていますので、お時間が取れましたら是非遊びにいらしてみて下さい。

2018年の開催日程につきましては決まり次第発表致します。

ご興味のある方はトップページよりLINE友達登録して頂けましたら更新情報をお送り致します。

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