結婚当初はデートしながら「私達結婚したんだね!」と、お二人で結婚指輪を眺める機会も多いものですが、日々の生活に追われていると、いつしか指輪を着けていることを意識する機会も少なくなっているという方も多いのではないでしょうか?
結婚から5年、10年と経って久しぶりに指輪に目をやると「結婚した時にピカピカだった指輪がなんだか曇っている」、「新婚から一度も指輪を外したことが無いんだけど、指輪が抜けなくなっている気がする」と気が付かることもあると思います。
こういった疑問が生まれた時はジュエリーショップに相談すれば目的に合わせた修理を行ってくれるのですが、先日、前知識として今後、結婚指輪のメンテナンスに必要になりそうな修理の内容を知っておきたいというご意見を頂きました。
そこで今回は、結婚指輪を着けていて起こりやすい経年変化と、事例ごとの修理内容、修理の注意点についてご紹介させて頂きます。
『指輪』としての結婚指輪の特徴
結婚指輪は身に着ける上で、他のジュエリーアイテムには無い特徴があります。それは、長年着けたままにする指輪であることです。一般的にファッションリングは出かける時に身に着け、帰ってきたら外すという方が多いと思います。
しかし、結婚指輪は基本的には数十年着けたままになりますので、炊事や洗濯などの家事、重い資料の入ったバッグを持って移動するといったお仕事の場面、ゴルフなどのスポーツのシーン等で、他の指輪の場合は受けることの無い力が加わることになります。
こういった日常生活でのダメージの蓄積が、指輪の曇りや変形の原因になります。結婚指輪が他の指輪に比べてシンプルなデザインが多いのは、こういった日常生活でのダメージに影響を受けにくように作られているからという面もあります。
不具合に気が付いたら、まずは購入したショップに相談
では、実際に指輪のサイズがきつく感じてきたり、指輪が曇っているように見えた時には、どこに問い合わせるべきか?というお話になりますが、問題に気が付いたらまずは結婚指輪を購入したショップに相談してみましょう。
他店で購入されたジュエリーのお修理も受け付けている当店の様なスタイルのショップでも、もちろんご相談を承ることができるのですが、ブランドやお店によっては他店で修理した場合には後のメンテナンスを受けれなくなってしまう場合があります。
そのため、まず購入店にご相談頂き、購入店で修理を受け付けて貰えそうであれば修理を依頼する。購入店で修理を受け付けていない場合や、その後のメンテナンスが必要ない場合は、他店に相談するといった流れでお考え頂いた方が良いと思います。
結婚指輪に起こりやすい5つの経年変化と修理方法
それでは、結婚指輪に起こりやすい経年変化の具体例と、推測される原因、必要になるお修理について見ていきましょう。
※一般的なプラチナや18金製の結婚指輪を想定しています。チタン製等の特殊な指輪の場合は購入店にご確認下さい。
例1. 指輪が曇ってきて (光沢が無くなって) しまった。
結婚指輪を着けていると指輪全体に多くの細かなキズが付きます。小キズが原因のため、洗浄では曇りを落とすことができません。
- 修理内容
- 指輪全体の磨き直しを行います。購入時の完璧な状態にはなりませんが、状態が改善されます。(磨き直し・変形直し: 1点/3,500円~)
- 修理時のご注意点
- 表面を薄く除去する修理になりますので、全周に彫り模様などのデザインが入った指輪の場合、凹凸が若干無くなります。また、内側に刻印されている文字が薄くなったり消えてしまい、再刻印が必要になることもあります。
例2. 指輪が変形してしまった。
自転車のグリップを強く握る、重い荷物を持つ、ゴルフでスイングする等、指輪に圧力が掛かった際に曲がってしまいます。
- 修理内容
- 指輪を叩いてできる限り真円に戻します。変形を直した後に指輪全体の磨き直しを行います。(磨き直し・変形直し: 1点/3,500円~)
- 修理時のご注意点
- お修理時には真円に近い形まで戻りますが、日常の使用とともに再度指輪の形は崩れていきます。そのため、変形直しのお修理は、大きく指輪が曲がってしまった場合や、定期メンテナンスの磨き直しと合わせて依頼することをオススメします。
例3. 指輪のサイズが合わなくなってしまった。
年月とともに体型は変わるため、結婚指輪がきつくなったり、緩く感じたりするようになることがあります。
- 修理内容
- あなたの現状の指のサイズに合わせて指輪のサイズを直す修理を行います。(サイズ直し: 1点/5,000円~)
- 修理時のご注意点
- 全周にデザインの入っている結婚指輪は、一部デザインが途切れます。また、内側に入っている刻印の位置によっては、別途再刻印が必要になる場合があります。純プラチナ製や、2種以上の金属を使用した指輪は、お修理できないことがあります。
サイズ直しの具体的な方法については「指輪のサイズ直し修理の方法と可否、サイズ直しできない時の対処方法」をご参照下さい。
例4. 指輪が外れなくなってしまった。
体形の変化や指の変形によって、指輪が抜けなくなることがあります。我慢せずに消防署やジュエリーショップに相談して下さい。
- 修理内容
- リングを切った1~2ヵ月後に、現状の指のサイズに合わせて指輪のサイズを直す修理を行います。(サイズアップ直し: 1点/6,200円~)
- 修理時のご注意点
- 修理におけるご注意点については、『例3』と同様です。加えて、デザインによってはリングを切断できない場合や、切った後にサイズ直し修理を行えないケースもございますので、抜けなくなる前に外すことが重要です。
指輪が外れない時の対処法については「気が付いたら指輪が抜けない!どうしよう?指輪の外し方【対策】」をご参照下さい。
例5. 留まっていた石が外れてしまった。
指輪の変形、金属表面のすり減り、石留めの爪を衣類等に引っ掛けた際に、留まっている宝石が落ちてしまいます。
- 修理内容
- 爪が残っている場合は石の留め直し、爪が無い場合は爪を作ってから石を留めます。(状態により要見積り)
- 修理時のご注意点
- 新たに爪を作る場合は、元の形状と異なってしまう場合があります。爪がすり減って無くなっている箇所が多くなればなるほど費用がかかりますので、宝石付きの結婚指輪を購入される際は、1石~3石位の指輪が良いと思います。
結婚指輪を美しく保つためにご自宅でできることは?
上記の例1~例5の様な現象は、ご結婚から10年、20年と年を経ると多くの方に起こってきます。結婚指輪は毎日着けている指輪のため仕方ないことではあるのですが、できれば美しい状態を長く保っていたいですよね。
そのためには、次のようなセルフメンテナンスを行うことで、結婚指輪を清潔に、ダメージを少なく保っていくことができます。
- 重い物を持つ時や、自転車・自動車のハンドルを握る時には結婚指輪を挟み込まない様に握る
- ご自宅で時々指輪を外して中性洗剤に浸けて洗う (ダイヤモンド付きか宝石なしの場合)
- 洗浄後に大きなキズや変形、宝石が取れていないかチェックする
まとめ
結婚指輪に付いてしまう小傷や指輪の変形は、普段の生活の中で起こる自然な現象ですので、必ずしも悪いことではありません。人によってはお二人のご結婚生活の歩みの証として『エイジング』と捉えている方もいらっしゃいます。
しかし、結婚指輪が大きく変形してしまった、指輪のサイズが合わなくなってしまった、抜けなくなってしまった等、日常生活が不便になってしまうケースや、紛失の恐れがある場合は、早めにショップに相談した方が良いでしょう。
その他にも、5年毎に結婚記念日に合わせてお二人で指輪を磨き直す等、結婚指輪のメンテナンスをお二人のイベント化するのも楽しいですね。時が経つとなかなか意識することが少なくなる結婚指輪ですが、時には気にかけてあげて下さいね!