このところ、伊勢丹や三越、高島屋などの百貨店、イオンやアピタなどのショッピングセンター、アンティークジュエリーを扱うインターネットサイトでも、見られるようになった宝石ジェット。
真っ黒で、手に持ってみると琥珀みたいに軽~い!この宝石は何なんでしょう!?今回はその素材や歴史について詳しく紐解いてみたいと思います。
そもそもジェットってなに?
ジェットとは?それは木の化石です!
ジェットとは、ナンショウ杉という1億8000万年前 (1億8000万年と言われても全く実感がありませんが、ジュラ紀という恐竜がいた時代らしいです) に青々と生えていた杉の木が、とても長い時間をかけて化石化した宝石です。
手に持ったときに軽く感じるのも、多くの宝石が 鉱物 = 石 であるのに対して、ジェットが 有機物 = 木 だからなんですね!
ヴィクトリア女王が肌身離さず身に着けたジェット
ジェットは前述のとおり化石化した木の宝石なので、真珠や琥珀の様に、機械を使わずに手に入れることができる宝石でした。(鉱物の宝石は掘ったり加工したりが大変ですね)
そのため紀元前1万年頃の石器時代には、すでに魔除けの宝石として珍重されるようになっていた様です。(ドイツやスイスにある洞窟の中で動物を象ったお守りが発見されています)
ジェットが最も脚光を浴びたのは、イギリス帝国の絶頂期であったヴィクトリア朝 (1837年から1901年) の時代です。
とても仲睦まじかったヴィクトリア女王の旦那様であったアルバート様が亡くなってしまい、ヴィクトリア女王は悲しみの日々に暮れました。
当時、イギリスのファッションリーダー的存在であったヴィクトリア女王は、その悲しみから喪を象徴する黒以外の装飾品の使用を全国民に禁止します。
そして、自らも黒に身を包み、ジェットを肌身離さず身に着けました。この影響によりイギリスでジェットが大流行することになります。
この時に イギリス公式の葬儀時の宝石 = ジェット という概念ができたのですね。ちなみに、この概念は今も続いており、一部では別の宝石も使われるようになりましたが、今もジェットがイギリスでは喪の席の公式な宝石です。
私たちの住む日本でも影響を受けており、公式な場では真珠ではなくジェットを用いることが一般的です。
普段使いにまで進化したジェット
こうして、お葬式のジュエリーとして広く用いられる様になったジェットですが、近年、多くのファッションショーでも取り上げられ普段使いのジュエリーとしても広く使われるようになっていきました。
しっとりとした質感と艶、軽さを併せ持ったジェットは、オニキスや最近流行のブラックスピネルとはまた違った、優しさのある光なので日常のシーンでも幅広くお使いになれます。
長年、オリジナルジェットジュエリーを作っているジュエリー優では、多彩なジェットネックレスをご用意しております。
またお使いのジェットの糸替えのお修理も承っておりますので、「ジェットのデザインを見てみたい!」や「ネックレスの糸が伸びてきた」と思った方は、お気軽にメールやLINE、またはご来店下さい。