少し前までは真珠のジュエリーというと、冠婚葬祭用のシンプルな連のネックレスというイメージが強かったですね。
しかし、近年はファッションブランドやアクセサリーブランドがカジュアルにアレンジしたパールジュエリーをリリースしたり、ハンドメイドブームでネックレスやピアスに使われるようになり、真珠の多様な楽しみ方が生まれています。
真珠の種類やデザインの多様化と共に、単純な真珠の質の良し悪しだけが購入する際や装う時の判断基準ではなくなってきています。ということで、今回は、購入の際の真珠の種類ごとの選び方や、季節や場面に合った真珠の着け方をご紹介させて頂きます。
その他、真珠の成り立ちについては真珠 (パール) ってどんな宝石?真珠のでき方や種類、歴史を解説!を、真珠のお修理やお手入れについては真珠ネックレス修理とお手入れの仕方、切れてしまった時の対処方法をご覧頂けましたら幸いです。
真珠 (パール) の選び方
真珠の種類ごとに美しい (価値が高い) とされる基準と、選び方についてご案内していきます。真珠の種類についての詳しい内容は「真珠 (パール) ってどんな宝石?真珠のでき方や種類、歴史を解説!」を合わせてご覧頂くと、より分かりやすいです。
今回ご紹介させて頂く選び方は、一般的な真珠連のネックレスを主に想定しております。チェーンの間に真珠を飛び飛びに使ったネックレスやデザインピアス等では、意図的に不思議な色や形の真珠を使うことがあるので、この限りではありません。
前提として、本真珠と呼ばれる養殖真珠の価値は、次の4項目でグレーディング (項目分け) されます。
- 色の発色や色味
- 真珠層の厚み
- 自然キズ・加工キズの有無
- 真珠の形
この項目分けを利用すればプロフェッショナルの方だけでなく、これから真珠を購入しようと考えている方にとっても、「どれが綺麗な真珠かな?」と探していくよりも、良い真珠を感覚的に判別しやすくなると思います。
例えば、光沢が強いか、透明感があるか、形が真円に近いか等は、数店舗でいくつか真珠を見比べていただくと、なんとなく感覚がつかめると思います。お店で実際に見せてもらう時は必ず白い布を敷いて、色や形がよく見えるようにしてもらいましょう。
信用性の高い真珠の鑑別機関
真珠を選んでいると、お店の人から「この真珠はこんな鑑別結果が出ているので良い真珠ですよ。」と言われることがあると思います。しかし、真珠の場合はダイヤモンドと違い、国際的な鑑別の価値基準設定がありません。
そのため、鑑別機関によっては本来の色味を人工的に大きく変えた真珠を無処理の真珠と表記するなど、鑑別書の意味をなさないものもあります。現在、信頼性の高い鑑定機関は真珠科学研究所と真珠総合研究所の2社のみです。
鑑別書を参考に真珠の購入を検討される場合には、上記のどちらかが発行している鑑別書を見せてもらって下さい。
種類ごとの真珠 (パール) の選び方
全般的な真珠の選び方についてご紹介してきましたので、もう少し細かく、真珠の種類ごとに選び方をご説明していきます。真珠の種類は今回ご案内するものの他にもございますが、一般的に販売されている真珠はほぼ全て網羅しています。
アコヤ真珠
アコヤ真珠は日本が初めて養殖に成功した1mmから10mm位の大きさの真珠です。市場に出ているものは、珠を取り出して穴あけをした後に若干の着色を施したものが多く、薄ピンク色に揃えられた連のネックレスが人気です。
数万円から数十万円が主なボリュームゾーンです。アコヤ真珠は比較的に真珠の層が薄く、劣化しやすいため、購入時にはなるべく3mm以上のものを選びましょう。傷つきやすい真珠のため、ご購入後のお手入れはしっかりと行ってください。
黒蝶真珠
黒蝶貝という貝から採れる8mmから14mm位の比較的に大きなサイズの真珠です。ベースカラーは黒やグレーで、緑味を帯びたピーコックと呼ばれる色のものが価値が高いとされています。近年、喪の席 (お葬式など) の真珠として人気があります。
数万円台後半から数十万円が主なボリュームゾーンです。自然の凹みや筋状の線が多くあるもの、形が不定形のものは安価になりますが、カジュアル感が強いため、喪の席では避けられています。最高級の黒蝶真珠はラグーンと呼ばれることがあります。
白蝶真珠
白蝶貝という貝から採れる8mmから16mm位の大粒の真珠です。アコヤ真珠と同じく、白色のベースですが、真珠の珠のサイズが大きく、真珠層が厚いです。ご希望のサイズに合わせてアコヤ真珠とどちらを購入するかを選ぶのも良いと思います。
数万円台後半から数十万円が主なボリュームゾーンです。白蝶真珠は白色の他にクリーム色や金色も採取されます。金色の美しいものになりますと、連のネックレスで数百万円になることも珍しくありません。アコヤ真珠に比べお手入れが容易です。
淡水真珠
アコヤ真珠・黒蝶・白蝶真珠が海水で採れる真珠であるのに対し、淡水から採れる真珠が淡水真珠です。大きさは1mmから20mm位と様々で、海水産の真珠に比べると希少価値が低く一般的な色味のものであれば数千円が主なボリュームゾーンです。
海水産の真珠に比べて奥行きの無い表面的な光り方をするものが多いです。人工的に染められたものも多く出回っており、「本真珠がなんと○千円!」といった海水産の真珠のように見せる売り方も散見されるので、しっかり確認した上で購入しましょう。
シチュエーションごとのオススメの真珠と着け方
ここまでは品質の良い真珠の選び方を紹介してきましたが、現在では真珠の種類の裾野も広がり、単純に質の高い真珠が良いもので、人工真珠を含む安価な真珠は良くないものといった考え方はナンセンスな時代になりました。
もちろん、真珠ジュエリーの購入を検討する際には、どういったものが市場的な評価が高いのかを知っておくことはとても重要ですが、それを知った上で、淡水真珠や人工真珠もアコヤ真珠や黒蝶真珠と同様に特性を活かして身に着けていきたいですね。
ということで、様々な場面ごとにオススメの真珠と着け方をご紹介していきます。
普段着は好みに応じて
プライベートなシーンでは、お洋服に合わせて変形真珠やコットンパールなどの人工真珠など、お好みに合わせて使えますね。
アコヤ真珠の連ネックレスは冠婚葬祭用のイメージがあって普段使いとしては敬遠されやすいですが、実はジーンズ・Tシャツのラフなスタイルとよく合います。最近では小粒の真珠連のネックレスをチョーカーの長さで着けるスタイルも人気があります。
ビジネスシーンはシンプルなものを
業種によってはジュエリー・アクセサリーの着用が認められていない場合もありますが、真珠はビジネスシーンでも活躍します。
真珠は優しさ・誠実さ・清楚を表現できるジュエリーとして人気があります。また、首元やお顔を明るく見せてくれる効果もあります。政治家の方も多用されていますね。好みに合わせて用いるというよりは、崩し過ぎないシンプルなものを選びましょう。
結婚式 (披露宴) に招待された場合はアコヤ真珠・白蝶真珠・人工真珠
元々、真珠そのものが晴の日 (おめでたいこと) を表すため、黒色の真珠も意味合いとしてはおかしくはないですが、白色系が無難です。
10代から20代では人工真珠、30代以降ではアコヤ真珠か白蝶真珠がふさわしいと思われます。披露宴などのかしこまった席では、真円形のシンプルな連のネックレス、シンプルなピアスが好まれます。変形や色のついた真珠、ロングネックレスは上級者向けです。
お葬式や告別式といった葬儀では黒蝶真珠・アコヤ真珠
真珠は晴の日を表す宝石でしたが、近年、イギリス王室で黒蝶真珠が使われるようになったため、解釈が変わってきています。
日本独自の文化では、昔から「真珠は涙を表す」とされています。そのため、葬儀の席で真珠を身に着けることは一般的で、アコヤ真珠・黒蝶真珠が使われます。あまり着飾ることはせずに真円形のシンプルな連のネックレスにシンプルなピアスが好まれます。
入園式・入学式や記念式典ではアコヤ真珠・白蝶真珠・黒蝶真珠
節目のイベントに参加する際にも、真珠は使いやすいジュエリーです。
式典で真珠を用いる時は、目的やご自身の立場に合わせて選ぶようにしましょう。保護者として入園式・入学式に参加する場合は、目立ち過ぎず誠実なイメージのアコヤ真珠がオススメです。記念式典などでは大粒の真珠で華やかに飾るのも良いですね。
季節による使い分けで真珠のコンディションをキープする
真珠は宝石の中でも、特に汗や化粧品に弱いデリケートな宝石です。そのため、お使いになった後は真珠専用の布や未使用の眼鏡拭きなどの柔らかい布で、真珠の表面の汚れを優しく拭きとってから保管して下さい。
湿気が多くなる6月頃から9月頃は、海水産と比べて汗や汚れに強い淡水真珠や人工真珠を使い、湿気が少なくなる10月頃から5月頃は、アコヤ真珠や白蝶真珠をお使いになると、それぞれの特性を活かした、真珠に優しい使い方が可能です。
まとめ
真珠をご購入される際の選び方や、シチュエーションごとの使い方についてご紹介させて頂きました。真珠のジュエリーは特に人気があるので、ネックレスだけでも複数お持ちの方も多いのではないかと思います。
でも、お気に入りのものばかりを使って、他のネックレスはしまったままになっていませんか?また、譲られた真珠をどう活かしたら良いか分からなくて、そのままの状態になっていませんか?そんな時に今回の記事が少しでもあなたの役に立てたら嬉しいです。