ジュエリーポエム「嵐の中の青い花」 ジュエリー 百のお話

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神奈川県の地域情報誌はまかぜ新聞にチーフデザイナー坂東幸香のジュエリーポエム「嵐の中の青い花」をご掲載頂きました。

 

嵐の中の青い花

坂東幸香

雨も風も喧嘩しているような 外は嵐

 

か細い茎の小さな蕾

荒風受けて大きく 小さく左右に揺れる

今倒れるか すぐへたばるか

けれど根っこをグイと踏ん張って・・・

雨にシタタカ叩かれて

うつむく蕾に雨の跡は涙跡

もうだめか いまだめか

だけど グイ・・・と根っこに力こぶ

 

大きな木で雨宿りの鳥たちが

一斉におしゃべり 騒ぎ出す

ごらんよ ごらんよ 雨が上がるよ

雨で重たい頭を上げて

声する方へ 空の方へ

煙った空気の向こう側

大きな大きな虹の橋

金の針をゆっくり伸ばし

キラキラ太陽が笑っています

 ホッ・・・ と蕾もほほえみました・・・

 

コンニチハ コンニチハ コンニチハ

銀色の雫を十二個も付けて

青い蕾は少しづつ花弁を広げてゆきました。

大丈夫 大丈夫 もう大丈夫

雨上がり 光の粒入りの空気を

胸いっぱい吸い込んで

誰より強く精一杯、綺麗に

青い花は咲きました。

お世話になった保育園の先生から、サファイヤの指輪のリフォームを承りました。先生とは30年振りの再会で、園長先生になられおり、目まぐるしい環境の変化と、責任の重さに「毎日へとへと・・・」と、沈んでいらっしゃいました。

「朝から晩まで神経を使うから、宝石で癒されたいな~と思って家の近くのお店に行ったら、今度はそこから毎日の様に電話が来るようになっちゃって・・・」「だから一番安心できる所で今まで買ったジュエリーをリフォームして心機一転したいんだ!」

と、涙ながらに語る先生は、次から次へと襲い掛かる突然の嵐に遭って、精神的にも肉体的にも打ちのめされているようでした。先生の根っこにある元気を思い出して、どうか嵐を乗り切って欲しい・・・との思いを込めてフルオーダーリフォーム致しました。

テーマは優しさと力強さ。青く澄んだサファイアをほとんどお使いになられていなかったであろう指輪から外し、サファイヤの持っている本来の光を蘇らせる様、薄く伏せこみ優しいミルグレイン加工で包みました。

サファイヤの周りは、小さなダイヤ3粒の力こぶ。先生のかわいらしい力こぶが心の芯(サファイヤ)を守っているイメージです。サファイヤの周りをダイヤモンドで華やかに取り囲むのではなく、空間を活かして優しさと力強さを表現することをポイントにしました。

ご職業柄、指輪を付けたままお子様達に接する機会があることも考慮し、爪の無いデザインに。優しくて凛とした強さも秘めたリングに、「ジュエリーって沢山じゃなくて、本当に気に入ったものを持ってることが安心感になるのね。」と仰って頂きました。

そこには、小さくて良く転ぶ息子を度々病院へ連れて行って下さった、優しくていつもニコニコしていた太陽のような先生の笑顔が戻っていました。大変なことも多いと思いますが、時々この指輪を付けて元気を取り戻して下さったら嬉しいです。

 

「ジュエリー百のお話」は、オリジナルジュエリーの制作の際や、ジュエリーのオーダーメイドオーダーリフォーム時にあわせて創っています。

お話は、不定期のコラムとして神奈川県内のフリーペーパーはまかぜ新聞「はまかぜ金沢版」で、連載させて頂いております。

オーダーメイド・オーダーリフォームをされる際に、「わたしのジュエリーにも詩をつけて欲しい!」というご希望がございましたら遠慮なくおっしゃって下さいね。

ジュエリー優をご利用される方々が、それぞれの想いでジュエリーやアクセサリーを好きになって、笑顔が増えていくことを願いながら日々私達はデザイン・加工・情報発信をしています。

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